毎日子供たちのタメ息が聞こえてきそうなくらい雨ばかりの夏休みも終わり、いい季節になって参りました。「読書の秋」は今、池井戸潤にハマっております。TVドラマの半沢直樹、花咲舞、ルーズベルトゲーム、などでこの1年近く話題をさらっている元銀行マン作家です。一連のテレビドラマの原作だけでなく短編集やベストセラーも一通り乱読気味に読みましたが、最近読んだ『空飛ぶタイヤ』が最高に面白かったです。一日で一気に読み上げてしまいました。

零細運送会社の2代目社長(主人公)が、社員の起こした死亡事故で被害者遺族から提訴され、メインバンクからはコンプライアンスを理由に見放され、プライベートではPTA会長という立場ゆえに事故の影響で子供が嵌められて家庭もぎくしゃくしてしまい、まさに八方塞がりだったところを、プライドと執念で足を使って事故の真相解明の手掛かりをつかみ、劣勢を徐々に挽回し、一気に土俵際でうっちゃる……、というテンポよく畳み掛ける胸のすくストーリーです。

この物語で主人公を取り巻く関係者キーマンは、決して正義の味方でも主人公のシンパでもありません。大手自動車会社、財閥系メガバンク、PTA組織、学校、警察、雑誌記者 ― それぞれの組織で同時進行的にそれぞれ自分の出世や手柄のために必死で動いていたキーマンたちが一本の糸でつながれて行き、結果的に主人公の無実の証明につながる、という壮大なストーリー!題名だけでは何の話か全く想像できないので???と思われるかもしれませんが、この秋、私イチ押しの小説です。特に銀行組織の描写にかけては、実際に何人かの銀行の方に伺ってみると、かなりのリアリティだそうですよ。10年ほど前にNHKで『ハゲタカ』という海外ファンドと邦銀、企業オーナー、株主の闘いのドラマがありましたが、『半沢』の方が圧倒的に実際にありそうな話だそうです。以前に書いた百田尚樹もそうでしたが、綿密な取材をもとにディテールの描写に納得感があります。また、ビジネス書的な切り口で申し上げれば、「現場にこそ真実がある!」「細部をおろそかにしないことこそ、大きな成功に繋がる!」 ― 小説としての面白さだけでなく、仕事の基本も思い起こさせてくれる1冊との出会いでした。皆さんもこの秋の夜長にNHK連続ドラマ「花子とアン」の花子のように―想・像・の・翼・を・広・げ・て―自由に空を飛んでいきませんか?夏の天気が不順だったので、この秋も台風、秋雨など油断できませんが、皆さんも気象情報には気を付けて良い秋をお過ごしください。

 

 

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